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『パックザケッツ』by オセロケッツ - 森山公一さんの才能溢れるヒネくれ・ポップロック、フォーキーな側面もあり詩も魅力(1998)

オセロケッツ森山公一中井英行丸山茂宏松崎智浩長田進斉藤有太JPOPポップスギター・ロックコミック・ソング浅森坂1998日本2020/04/11/02:53

『パックザケッツ』by オセロケッツ

一行でまとめると…


カントリー・ロックバンドの「The Ma'am」、浅田信一さん・坂本サトルさんとの「浅森坂」等の活躍がある森山公一さんのそれら以前のバンド。ヒネくれた世界観の男気系ロック。だけどポップ。コミック・ソング的?さらにフォークな面もあるファースト・アルバム。ヒネくれと言っても突飛すぎる展開はなく、その印象は主に歌唱と歌詞から。

前書きと曲目


 以前、SMILEの4thの記事を書いたように僕は浅田信一さんが大好きなのですが、彼がクロスビー・スティルス&ナッシュをパロるかのように坂本サトルさん・森山公一さんと組んだのが「浅森坂」。そこで初めてこのバンドのフロントマン・森山公一さんを知りました。浅森坂以前にやっていた作品を聴いてみよう!と集めだしました。

 また、本作のプロデュースはDr. StrageLoveの長田進さん。こちらは以前記事にしたthe autumn stoneの『Good-bye Ram's Hill』のプロデュースでもあります。ちょっと嬉しいですね。

 オセロケッツのアルバムは『MADE IN STUDIO』『Eject』と続き、以後はソニーからのリリースでなくなり、そこまでしか持っていないのですが、そしていずれも素晴らしいのですが、個人的にはこの『パックザケッツ』が一番好きです。

1. ヘアチェッカー
2. ジェリービーン
3. しゃけのうた
4. マフユ
5. ボディガードはクレジットカード
6. 灰色大人島
7. フォークまち
8. アンサーソン
9. 病花
10. クレイジーファミリーパック
11. 答えて!エイリアン
12. 川辺の日常
※基本的に作詞作曲・森山公一さん。3と12が作詞・中井英行さん、10は作詞・森山さん/中井さん、また1は「additional words」として中井さん、丸山茂宏さんがクレジット。シングルは1・4・8。

日本語のメロディへの乗り方が素晴らしい!


 メンバー(敬称略)は、

森山公一…ヴォーカル、コーラス、アコギ、エレキ、ハーモニカ
中井英行…ベース、コーラス
丸山茂宏…エレキギター、コーラス
松崎智浩…ドラム、パーカッション、コーラス

 そして、プロデューサーの長田進さんはエレキや3のハーモニカ、11のヴォコーダー、12のラップスティールなど。そしてセッション鍵盤奏者の斉藤有太さんが参加してます。特に「ホンキートンクピアノ」とクレジットされた9が素晴らしいです。

 ちなみに歌詞カードには「ノイジーなサウンドに感じられる部分に関しては、制作者の意図によるものです」と書いてあります笑。あと掲載されている写真も何かのパロディなのか、かなり面白いです。ぜひ現物を見てもらいたい。

 曲に行きます。自分は最初の2曲「ヘアチェッカー」「ジェリービーン」で、これはとんでもないアルバムだともうわかりました。

 前者は薄毛が気になりだした若者の歌なんですが、曲としてはハード目のロックで、メロディへの日本語の乗り方がバツグン!(かなりカタカナ使ってますけど笑)。ずっと「トリートメント効果」とか言ってるだけなんですけど。

 後者はオールディーズ的な文脈を発展させた素晴らしいポップス。歌詞にはマカデミアンナッツが出てきたりする豆の歌です。卑猥な比喩にも聞こえます。他にも「ラヴィン・スプーンフル」「スプーキー・トゥース」と直接的にバンド名が出てきたりします。ギターはイントロのフレーズも印象的だし、チェット・アトキンスの「Yakety Axe」みたいなフレーズも歌中に入ってきます。こちらも「ヘアチェッカー」と同じで日本語が気持ちいい。歌いたくなる。

「マフユ」はシングル曲。自分が聴く限りでは、実は下品な比喩があるとかでなく、まっとうな良い曲。ちょっと、ここらで売れたろう、的な事情も感じます笑。

「ボディガードはクレジットカード」は全体の中で強く印象に残るほどではないですが、タイトルで、こういうこと歌うバンドなんだ、っていうのがある程度わかりますね。「支払いはパパさ」とのこと。ちなみに、歌詞カードに「味方」を「見方」とする誤植があります。

「アンサーソン」はハイライトの一つとなる大名曲。ものっっすごく雑な例えをすればザ・イエロー・モンキーでいうところの「JAM」みたいな存在感の曲と思います。リアルタイムでファンだったわけではないので、あくまで自分的には。森山公一さんのソロライブでもアンコール前ラストで演奏されていたりするようです。とても普通のコード進行に、まったく情景的イメージが沸かない歌詞、だけど聴き入ってしまいます。歌詞は少ないのですが、1番2番でけっこう変えてくる歌いまわしも最高にカッコいい。

 続く「病花」は逆に、という訳ではないですが、自分のようなタイプのリスナーにとっては、「アンサーソン」に負けず劣らずの名曲です。曲としてはフォーク~カントリー・ロックの小曲。それでいてギターはかなり歪んでます。後にThe Ma'amでカントリー・ロックをやることの前触れが既に表れています。ちなみに、今はわかりませんがiTunesで取り込むと「病火」と曲名が間違った状態になります。

「クレイジーファミリーパック」もまた素晴らしい。名曲の安売り状態です。「ヘアチェッカー」同様、ハードでミディアム目のテンポ。オセロケッツはなんだかんだで男気系ロック・バンドなので、けっこう使うのは珍しい空間系エフェクト(アナログ・ディレイ?)を使ったギター、謎の歌詞。グラム・ロック的なイメージも。

「答えて!エイリアン」が続きます。これが一番ヒネくれてますが、中毒性がある。エイリアン的なヴォコーダー、キーボードからと思われる刑事ドラマみたいなサックスかウインドシンセ的なフレーズ、ふざけた歌い方、突然エレキ弾き語り風になる最終盤の展開、その最終盤での全員で歌ってる英国アンセム感、同じくキーボードと思われるホーン・セクション…。特にホーンの感じからも、どうしても浮かんでしまう言葉は「ビートルズ」です。

 3拍子の「川辺の日常」が締めくくりになります。記事中でパスした「しゃけのうた」と合わせて、ハーモニカが鳴り響くフォーク・ソングです。こういったフォーキーな感覚もオセロケッツは時折出してきます。ゲストの長田進さん、斉藤有太さん、それぞれラップスティール・ギターとハモンド・オルガンを弾いていて、これがまたいい感じ。曲名からわかる通りアルバムで一番、風景描写的な歌詞で、個性的な曲が続く中、こんな感じでアルバムが終わるのもなかなか乙なもの、と思います。

 ちなみに、この最後の「川辺の日常」はベースの中井さんが作詞。後の作品でも、森山さんだけでなく中井さん作詞曲があることからも、けっこう歌詞には気を使っていたのかなと推察されますね。

 と、いう訳で、久しぶりの前回投稿から自分なりに間を空けずに、オセロケッツのファーストについて書いてみました。森山公一さんは、今は現在進行系でカントリー音楽界で活躍しておられますので、今後も追っていかなくては!と思ってます。The' Ma'amの2枚もソロアルバムも既に確保済みです笑。いつか書くかもしれません。

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