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『Reach for the Sky』by Cowboy - サザンロックなのにどこかかわいらしい、たぶんみんな好き(1971)

CowboyカウボーイScott BoyerTommy Taltonサザン・ロックカプリコーン1971アメリカ2017/10/26/00:00

『Reach for the Sky』by Cowboy

一行でまとめると…


 クラプトンがカバーしたことで有名なバンド。そのまま初期クラプトンに通ずるところもあるサザン・ロックだけど、ニール・ヤングっぽい曲もありSSWみたいな曲も多い。かわいらしいところが多くてそこが魅力。

前書きと曲目


 クラプトンが「Please Be with Me」をカバーしてることが特に有名なバンド。サザン・ロックのイメージが強いカプリコーンからのリリースですけど、アコースティック色が強くて割に線は細い音。前書いたスワンプウォーターが全然泥くさくないのと一緒で、このカウボーイも全然ウエスタンではないです。ジャケットはめちゃかわですね。

1. Opening
2. Livin' in the Country
3. Song of Love and Peace
4. Amelia's Earache
5. Pick Your Nose
6. Pretty Friend
7. Everything Here
8. Stick Together
9. Use Your Situation
10. It's Time
11. Honey Ain't Nowhere
12. Rip & Snort
13. Josephine, Beyond Compare

上手すぎないのがグッド、シンプルなピアノが活躍


 メンバーは…

スコット・ボイヤー Scott Boyer…リードボーカル、アコギ、エレキ、バイオリン
トミー・ダルトン Tommy Talton…リードボーカル、アコギ、リードギター、

 の中心メンバーに、

ビル・ピルモア Bill Pillmore…ピアノ、アコギ、フィドル、ボーカル
トム・ウィン Tomm Wynn…ドラム、パーカッション
ジョージ・クラーク George Clark…ベース、ボーカル
ピーター・コワルキ Peter Kowalke…アコギ、リードギター、ボーカル、ドラム

 アコギ、エレキ、リードギターってい括りはどうなのだろう…と思いつつもブックレットにはそう書いてあるのだから仕方がない…。「ボーカル」ってのも「リードボーカル」がある以上、コーラスのことなのかなと。で、色々重複する楽器もあり、持ち替えできるバンドのようですね。

 作曲は全曲オリジナルで、やはりスコット・ボイヤーとトミー・ダルトン作が多い感じ。

「Opening」は2分弱の、ホントに導入部といった感じのトラック。全体的にコーラスで進んでいく、ややCSNYっぽくもある曲。とりあえずこの段階でコーラスもうまくて良いバンドなのだろうなと予感させてくれます。

「Livin' in the Country」はどこかで聴いたことあるなぁと感じるのですがわからない…。もしかしたら前述のクラプトンの「Please Be with Me」と似てるだけかもしれません。曲名の通り、田舎で素朴な良い曲です。

「Song of Love and Peace」は一番カントリー・ロックを感じさせる一品。ボーカルが朴訥としてるのがカントリー・ロックとはちょっと違うかもしれませんが、ピアノが目立っている感じとか、カントリー・ロックっぽい曲の時のアーロ・ガスリーのような感じですね。

「Amelia's Earache」。曲名は説明が必要ですね。「アメリア・イアハート」という伝説の女性飛行士がいて(有名なカントリー・ソングにもなっています)、そのもじりです。ただこのトラック自体は曲名同様単なるお遊びです。

「Pick Your Nose」はかわいらしいポップな曲。肩肘張らないリラックスしたムードはパブ・ロックにも通じます。

「Pretty Friend」はもろにニール・ヤング的。上の方ではCSNYの名前も出しましたが、似た雰囲気がこのアルバムでは随所に出てきます。

「Everything HereやStick Together」でやっと、サザン・ロックだなぁという作風のブルージーで泥くさい曲(だけどどこか線が細くてかわいらしい)。しかも前者はケイジャン風フィドルが入ってる。なんというか、上手すぎないのが良いです。上手すぎないというと語弊があるかもしれませんが、圧倒的なプレイヤーはいない感じ。ギターもすごく好きなタイプでセンスも良いんですが、圧倒される感じは全然ないです。

「Use Your Situation」はピアノから始まる、これもまぁサザン・ロックっぽいのにかわいらしい曲です。アルバム通してこのピアノがずっと目立ってて、それこそ私でも同じくらいはすぐ弾けそうなくらいのことしかやってないのですが、抜群にこのバンドの良さに貢献してます。

「It's Time」はニール・ヤング・アゲインといった風ですが、サビの感じなんかはちょっと本格派の骨太サザン・ロックっぽい!笑。かなりの高音まで使うコーラスが荘厳です。もしかしたら名曲かもしれない。

「Rip & Snort」は…イントロのギターからしてCSNYを皆様思い浮かべてしまうのではないでしょうか…。このアルバムも1971年とそこそこ古いので影響を受ける云々はないと思うんですが…。ひとつ気になったのはCSNY以前にニール・ヤングがいたバッファロー・スプリングフィールドのアルバムタイトルと同じ「Last Time Around」という歌詞があること。偶然かもしれませんが、あり得る意図のようにも思えます。

 ラストの「Josephine, Beyond Compare」はもう普通のアコースティックSSWですね。ちょっと陰鬱な雰囲気からして英国的ですし、ラルフ・マクテルやアル・スチュワート感があります。

 何回か「かわいらしい」って言葉を使ってしまいましたが、ホントにそんな感じ。本格的じゃないからこその良さ。レビューでよく見る表現で言えば「愛すべき」とでも言えば近いでしょうか。たぶん、カウボーイが好きで好きでたまらないという人はそんなにいないと思うんですよね(いたらごめんなさい)。でも、サザン・ロック、スワンプ・ロック、カントリー・ロック、70年代アメリカン・ロック、なんでも良いですがその辺を愛好してる人はみんな「カウボーイ良いよね」って言うんじゃないでしょうか。そんなバンドです。

 最後に、上にも書いていますがビル・ピルモアのピアノが実にいい仕事をしています。ここはぜひとももう一度書いておきたい。

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